ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

オリンピックはリスケせよ

報道各社の発表によると、安倍内閣の支持率は7月で一旦底を打ち、8月度は各社調査とも上昇する結果となった。

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(出典:【政治デスクノート】安倍内閣の支持率は本当に底を打ったのか? 実は安倍政権を支持しているのは若者たち - 産経ニュース)

記事のコメントを見ていると、

8月14日に安倍首相が発表した戦後70年談話を「評価する」という回答が57・3%に達するなど、談話効果も大きかったようだ。

 などと、ほんまかいな。と言いたくなるような記載もあったが、元々の期待値がよっぽどひどかったのでは?と考えれば頷ける結果である。15年は特に大きな選挙等もなく、政権が安保法制を進めるには絶好の機会と言われてきた。しかし、16年7月に行われる参院選は、衆院選と異なり既に確定した予定である。まだ一年近くあるとは言え、そろそろ地固めを始めたいころであろう。

8月度の支持率は比較的良い結果であったのかもしれないが、9月度に支持率は急落する可能性を控えている。今まで、『安倍支持』の大きな要因となっていたアベノミクスによる株高効果も、チャイナショックという不幸な外部要因はあったものの株価はぐーんと下がっており、庶民の目線も厳しくなっている。

また、総理御自らやじを飛ばしてみたり、今やゲイキャラとしておもしろ枠に収まりつつある武藤議員の存在など、スガ爺の悩みの種は尽きない。そして特に国民の関心が高いのが『東京オリンピックを巡るドタバタ劇』であろう。

 2020年夏まであと5年

 思えば、国立競技場の立替の頃から、『これほんまに大丈夫かいな』ということは絶えなかった。しかも此処に来て、大会公式エンブレムの再作成という国恥ものの大失態を曝け出すことなった。このことによる経済損失は、東京都の4,600万円を筆頭に、膨大な額に上る。(参考:五輪エンブレム撤回…新国立に続き、また無駄金 被害数億円か ― スポニチ Sponichi Annex 五輪

さらに、オリンピックの開催時期という問題も持ち上がる。『元気があれば何でも出来る』がキャッチコピーのアントニオ猪木参院議員にまでダメ出しをされている。

「だったら大臣アンタが走ってきなって。ランニング(シャツ)とシューズを用意してさ。現場を知らないヤツらが利権屋と絡むからこうなる」と一刀両断にした。

全くもって『正論』と言わざるを得ない。結局この時期にこだわる理由は、『夏休み』の時期に合わせることによって、テレビ番組の視聴率を上げたい報道各社の思惑など、商業的な理由である。だからこそ、元スポーツ選手であるアントニオ猪木氏の言葉が重みを持つのだ。

そもそも、東京の夏は暑い。まず、東京の年間の気温や降水量の推移は下記のとおりである。

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8月の平均気温は26.7度。最高気温は30.8度にもなる。一方、欧州主要都市は下記のとおりである。

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(出典:世界・主要都市の気温と降雨量、気候 - 海外赴任・留学・出張ならJCMの「海外いろは」)

比較的近いのがローマであるが、それでも平均気温で3度、最高気温で1度も気温が高い。また、合わせて気になるのが『降雨量』である。いわずもがなだが、我が国において8月は台風シーズン。ぶっちゃけ8月に開催するのであれば、マラソン当日に大型台風が上陸した場合のシナリオも含めて検討が必要である。

偉い人のすべきこと

国立競技場にせよ、エンブレムにせよ、夏の暑さにせよ、事前にしっかり検討すべき事項であったはずが、傍目で見ていても何か物事をあまりに拙速に進めすぎているように思われる。勿論、予期せぬ自体を起こさないことが最重要だが、何かことが起こった際にそれに対応して軌道修正を行うことも重要である。

気温の件もそうだが、8月でのオリンピック開催は、これだけ色々なドタバタが起こっている以上、柔軟に検討を進めるべきである。

だが、現実のオリンピックも含め『プロジェクト』は往々にして、現場の拾っている情報とトップの決断が解離することは多い。システムの導入プロジェクトにおいても、『偉い人』は実際の機能や業務の改善内容にはあまり興味を示さないものの、『予算』と『スケジュール』については非常に強い関心を示す場合が多い

現場は、あれもこれもそれもと言い出し、当然それであればスケジュールを調整しなければならないものの、トップの判断は『納期は必達せよ』である。その為、中途半端な結果になったり、導入作業の負荷が極めて大きくなるケースは多い。勿論、だらだらしているところに活を入れることも重要であるが、本来トップに求められることは『プロジェクトの効果を最大化』することであり、その為に柔軟に予算とスケジュールをコントロールすることが最重要である。

スケジュールの再設定『リスケジュール』略して『リスケ』は、偉い人の特権であると同時に、重要な責務であり、その権限の使い方によって、その人の人徳は評価されると考えて良い。

らくからちゃはリスケを支持します

スケジュール、といえば我々意識低い系のサラリーマンにとって憎むべき相手がひとり居る。それがこいつである。

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本人にはまったく罪は無いが、この『いつやるの?今でしょ?』という流行語は、少なくともわたしにとっては『えらいめに遭った』言葉の一つである。

ぼく:今日は定時で帰りや~っす!
上司:らくちゃーん。◯◯の資料まだなの?
ぼく:え、それもう必要っすか?今週中じゃダメ?
上司:いつやるの?
ぼく:・・・今っすか?(;´Д`)
上司:ご名答(^^)

もうほんと、何度こんなやり取りをしたことやら。この一言のお陰で、失われた家族団欒と発生したサービス残業の量は中々のものになるのではないだろうか。流行語の社会への影響力は大きい。だからこそ、安部総理には言って欲しいのだ。

『オリンピック、リスケします』

と。この一言があれば、実際の作業ボリュームが当初スケジュールと乖離したプロジェクトの定例会の場においても、『ほらー、安部総理だってリスケしますって言ってるじゃないですか。やはりここは、本来の目的を達成するためにもリスケが必要なんですよ!』などと便利に利用させて頂く所存である。

成長の為にはスピードが重要であることは、企業の業績も世界の経済も変わらない。しかし、スピード化を実現した際に得られる果実は、往々にして下々のものには分配されない。下手すりゃ納期必達の為に、血反吐を吐いて戦ったとしても、残業代すら出ないことも多々ある。

あたり前田のクラッカーであるが、政治家の考えるべきことは、適切な分野に適切な資源を投入し、無理なく成長を実現することである。短期的な成長の観点からはマイナスであっても、豊かな社会を実現するためには、庶民が疲弊しないようにスケジュールを適切に調整することが重要なのである。

こういったことは、下々の人間の決められることではない。だからこそ、強いリーダーシップを持って決断して欲しいのだ。

『オリンピック、リスケします』

と。(大事なことなので二度言いました)

こういってくれるのであれば、その心意気を評価するひとはきっと多いだろう。是非、安部総理には支持率アップのためにもトライしてみていただきたい。

 

なお、この記事は実在のプロジェクト、深夜残業には何一つ関係が無いことを此処に明記させて頂きます。